ハイイールド・ストラクチャード・クレジット:成熟する欧州のストラクチャード・クレジット市場

25 分間で理解する 24年5月30日

今日のストラクチャード・クレジット市場を特徴づけているのは、資産クラスの多様化と幅広い金融商品ラインナップと言えるでしょう。ストラクチャード・クレジットには、パブリックとプライベートの両市場からアクセスすることができ、主要な戦略には資産担保証券(ABS)やローン担保証券(CLO)のほか、信用リスク移転(SRT)取引、スペシャルティ・ファイナンスといった、他の形態のプライベート・アセットバック・ファイナンスがあります。そのうち、SRTとスペシャルティ・ファイナンスは、世界金融危機後に台頭してきた戦略です。近年、これら5つの分野をけん引してきた長期的かつ構造的なテーマが複数あります。ストラクチャード・クレジット市場が次の成長段階に移行する中、これらのテーマがストラクチャード・クレジット市場の発展と成長を形成すると思われます。

私たちは、足もとの欧州のストラクチャード・クレジット市場における案件数の増加と幅広い投資機会が投資家に好材料を提示しているとみています。高い政策金利水準、規制環境の変化、市場構造や資金調達モデルの変化、そして市場における価格の歪みと非効率性といった複数の要因が重なり、欧州ストラクチャード・クレジット市場における投資環境は、熟してきていると思われます。これらの要因が相まって、発行体やローンの借り手だけでなく投資家からも、プライベートおよびストラクチャード・クレジット・ソリューションへの需要が高まっています。

私たちは、高い利回りを求めるクレジット投資家は、引き続き二桁台の「株式並みのリターン」をストラクチャード・クレジットに期待できると考えています。伝統的な債券に対して超過リターンを得られる可能性に加え、強固な構造上の保全機能も備えています。ストラクチャード・クレジットの取引は、複雑で理解されにくいため、参入障壁も比較的高くなっています。

ストラクチャード・クレジットは、特別なスキルが必要とされる資産クラスです。原資産の分析・評価方法のみならず、アルファの創出においては、ストラクチャリングの専門知識やレバレッジを有効に活用できることが求められます。すなわち、資産のソーシング能力や、市場の非効率性(市場の競争が限定的である必要あり)や複雑性、非流動性プレミアムを活用し収益化を図る能力が必要です。

本稿では、ストラクチャード・クレジット市場発展の背景から、主要な投資機会、案件のソーシング方法など、ストラクチャード・クレジットの投資環境を形成している要因を掘り下げて分析します。そして最後にストラクチャード・クレジットのマネージャー選定の主なポイントについて解説します。

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