債務状況の分岐点:岐路に立つ投資家

12 分間で理解する 25年3月27日

世界は 250 兆米ドルの問題に直面しています。世界の債務は増え続け、減少の兆しがない中、投資家は政府がこの水準をいつまで維持できるのかと疑問に思い始めています。ハリエット・ハバーガムが現状に至った経緯、今後の見通し、そしてこれが債券投資家にとって何を意味するのかを探ります。

エディンバラのスコットランド銀行の階下にある博物館には、100万ポンド相当の5ポンドの無効紙幣の山があります。この印象的な展示は、お金の価値をユニークな観点から示しています。かつてはこの一山の紙幣で国の税金を払うことができたのです。今や私たちは政府の支出や債務残高について、数十億または兆単位で議論することに慣れてしまいました。政府の借金は飛躍的に増加し、2023年時点の世界の債務残高が250兆米ドルだったことを考えると1、積み重ねられた100万ポンドの無効紙幣を前に、世界が直面している問題の大きさを実感します。わずか10年前の2015年には、世界の債務残高は60兆米ドル未満でした。そして、今年も債務残高は再び増加すると予想されています。

今年1月にダボスで開催された世界経済フォーラムで、国際通貨基金(IMF)のギータ・ゴピナート氏は、状況は「想定よりも悪い」と述べました2

積みあがってしまった債務は、経済、政治、社会に幅広い影響を及ぼす水準に達しています。私たちは多額の債務を抱えて暮らすことに慣れてしまっていますが、現在の債務水準はあまりにも高く、少なくとも世界の一部では行き止まりに近づきつつあるかもしれないことに投資家は気づき始めています。M&Gグローバル・マクロ・ボンド戦略の運用者であるロバート・バローズが指摘するように、「債務は、問題になるまで問題にされない」のです。

しかしながら、これは普遍的な傾向ではありません。世界中には、財政状況の改善に取り組んだことで、今多くの「先進国」の国々と比較して債務水準が低いことの恩恵を受けている国もあります。世界経済は岐路に立たされています。そもそもなぜこのような状況に至り、なぜそれが重要なのか、そしてそれは投資家にとって何を意味するのでしょうか。

生活と債務の問題

債務には多くの否定的なイメージがありますが、政府にとって債務は経済発展のための重要な手段です。成長を促し、インフラ、教育、健康などに関連した社会に必要不可欠なプロジェクトの実行を後押しします。また、不況時には経済を刺激するための重要な対応策のメカニズムとしても機能します。

米国の初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンは次のように述べています。「特定の緊急事態における借入の必要性は疑う余地がないが、有利な条件で借入を行うためには、国の信用力が十分に確立されていることが不可欠なことも明白だ3。」

政府が債務を発行し、適正な価格で資本を呼び込むためには、その信頼性と信用力を維持することが不可欠です。

しかし、過去数十年の間に世界の債務水準は2008/09年の世界金融危機(GFC)後、そして2020年のコロナ・パンデミックを受けて、特に西側諸国において劇的に上昇しました。2023年末時点で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の政府債務残高は対GDP比で約83%に達し、2008年と比較して30ポイントも増加しました。それでもインフレの上昇により、この比率は過去2年間で10ポイント以上、押し下げられています4

この債務増加の大部分は、GFC後の低金利と金融緩和により発生したものです。バローズは「金利が非常に低ければ、債務は高水準で推移する可能性がある」と述べています。しかし、同氏はさらに「金利が上昇した今、高水準の債務は問題となる。金利が上昇したことで投資に回す資金が抑制されることは、政府にとって問題だ」と述べています。

「利子の支払いに多額の費用が必要になると、そのお金は看護師や消防士の給与や新しいインフラへの投資に充てられなくなり、今後の成長に影響が出始める。成長がなければ、負債を返済するための収入がなく、悪循環に陥ってしまう」とも述べています。

米国の金利は、パンデミック後のインフレ急上昇の結果、大幅に上昇しています。その結果、米国のフェデラルファンド金利は、2023年7月から2024年8月までの1年以上にわたって5.5%で推移しました5。この金利の急上昇と増え続ける債務の結果、米国の政府債務に対する利払いは2023年に初めて1兆米ドルを超えました6

M&Gグローバル・コーポレート・ボンド戦略の運用者、ベン・ロードは、考慮すべき最も重要なことは債務水準そのものではなく、国がそれを返済できるかどうかだと指摘しています。たとえば、米国では 10 年国債利回り(国債を購入する投資家が要求する金利) が 4.5% ですが、インフレ率は 2 ~ 2.5% で、実質 GDP 成長率は 2% を超えているため、米国の現在の債務水準は管理可能だとロードは述べています。ただし、GDP 成長が止まり、インフレ率が 2% で停滞した場合、投資家は 10 年借入金利の政府の返済能力についてより不安になるでしょう。

公的債務のゆくえ

人口動態の変化、脱グローバル化、脱炭素化への転換といった流れは政府支出の負担を増大させる可能性が高いため、政府債務残高がすぐに減少する可能性は低いでしょう。ロードは、「西側諸国はベビーブーマーのためにこのようなシステムを構築し、ベビーブーマーもそれを望み、そして今ベビーブーマーは実際にその恩恵を受け始めている」と言います。

この傾向は、人口動態から見て需要が大きい米国で顕著です。米国では今後数年間、社会福祉とメディケイド(低所得者に対する公的医療保険制度)のコストが増大する可能性が高く、2024年の財政赤字は1.8兆米ドルに達しました。さらに、2025年には1.9兆米ドルに達すると予測されています7。米議会予算局(CBO)によると、大恐慌以降、財政赤字額がこの水準を超えたのは、過去3回で、第二次世界大戦中とその直後、GFC、新型コロナパンデミックのときのみです。さらに長期的には、CBOは公的債務が2054年までにGDPの166%に達すると予測しています8

ポピュリスト政治の台頭は、さらなる債務を強いています。2024年には世界中でこの傾向が見られ、50か国以上で選挙が行われました9。米国、英国、その他の国では、政治的立場を問わず、各政党が票集めのために膨張的な財政政策を訴えて選挙活動を展開しました。例えば米国では、共和党、民主党ともに、最終的には財政赤字を拡大する政策を訴えて選挙活動を展開しました。

政府債務の持続性

世界の準備通貨として例外的な地位にある米国は、債券市場から罰せられることなく財政赤字を増やし続けることができると想定するのが一般的です。しかし、投資家が「もう十分だ」と言う日が来るかもしれません。

「債務が問題なのは確かだが、投資家がそう判断する日がいつくるのかはわからない。債務が増えているという事実から見れば、2年前よりもその日が近づいているのは間違いない」とバローズは言います。投資家は、最も先進的な政府でさえも機動的に動く余地がなくなるかもしれないことを以前にも増して認識し始めています。その結果、「政府はますます保護主義的になり、資本ははるかに足が速くなっている」とバローズは結論付けています。

ロードは、国の経済が現在の市場金利の水準では、借り入れを返済し続けられないという懸念が債券投資家の間に広がると、市場は大胆かつ効率的な動きに転じると考えています。そうなると、国債購入のリスクに対して十分な対価を得ていると投資家が感じる利回り水準がどこかを探る段階に移ります。「このような状況では、短期債よりも長期債の動きの方が気がかりになる」とロードは述べています。

この兆候は見え始めています。2024年第4四半期には期間プレミアムの推定値がわずかに上昇し、投資家が米国長期債の保有に対するリスク対価の拡大を要求していることが示されました。一方、2024年末の米国債入札もこの懸念を浮き彫りにしており、一部の月次入札は2022年以降では予想を上回る最も高い利回りで終了し、投資家がますます膨らむ米国債供給を吸収する意欲がないことを反映する結果となりました10

債券CIOであるアンドリュー・チョールトンは、「先進国政府は国債を売りたいのであれば、買い手を見つけなければならない。これは、需要と供給の基本ルールだ」と強調します。

政府債務をめぐる緊張とボラティリティの高まりは、特に英国で顕著に表れています。

英国が財政黒字を記録したのは1970年以降5回のみで、直近は2000年/2001年でした11。英国は、他にも経済成長と生産性の低さ、人口の高齢化、政府債務の高さ、借入コストの高騰など複数の課題に直面しています12

さらに、実質金利の水準は現在、実質GDP成長率を上回っており、公的支出を制限せずに債務の対GDP比率を下げることは困難となっています。

その結果、英国の政府債務の持続可能性を市場は注視しています。その兆候は2022年の英国債危機の際に見られました。当時の財務大臣クワシ・クワーテン氏が新政府の「ミニバジェット」の一環で、一連の減税と国民保険の削減を打ち出しました。後に「トラスノミクス」と呼ばれるようになったこの予算には、「エネルギー価格保証」の実施に伴い、政府支出を引き上げることも含まれていました。この歳入の減少と支出の増加を同時に行うことは、財政赤字の拡大を意味しました。その結果、投資家が英国債の売却に殺到したため、英国債の利回りは3.5%から4.3%に急上昇しました13。「市場は限界に達した」とチョールトンは指摘します。

バローズによれば、2022年のリズ・トラスのエピソードは、「信頼がいかに儚いものであるか」を実証しました。バローズはさらに、「ひとたび債券自警団が特定の市場とは関わりたくないと判断すれば、価格はすぐに調整される可能性がある」と付け加えました。

ロードは、英国には「財政的な余裕はほとんどない」と指摘しています。その結果、市場は財政の浪費の兆候を警戒しています。例えば、労働党政権下の直近の予算案では、民間部門から税金を徴収するという、成長にとってマイナスになりかねない内容が盛り込まれたため、市場は動揺しました。この予算案によって英国債の発行額は3,000億ポンドに迫ると推定されており14、英国債への需要の度合いが試されるでしょう。債券市場はすでに焦りを見せており、英国10年債の利回りは2025年1月に2008年の金融危機以来の水準まで上昇しています15

しかし、チョールトンにとっては、これは非難されるほどのことではないかもしれません。イングランド銀行は、GFC後10年以上続いた量的緩和(QE)プログラムの中で、英国債の買い手となり、価格を人為的に抑制してきましたが、今回の金利上昇は、この量的緩和(QE)プログラムの終了が一因です。現在は、「市場で消化されるべき債券がたくさん存在し、価格は修正されなければならない。英国政府の信用力はここ数ヶ月で劇的に変化したわけではない。ただ、現在の価格は、QEによる歪みのない、リスクとリターンのあるべきバランスを反映しているだけだ」とチョールトンは説明しています。

“英国債を正当な価格で買ってもらうためには人々を説得しなければならない。 それは健全なことだが、政府は十分に注意を払う必要がある。”

債務状況の相違

欧州においては、政府の債務水準の影響が顕著に表れています。これは、欧州には共通通貨としてのユーロと、共通中央銀行としてのECBが存在していることによるものです。このため、各国の信用リスクは明確に価格に反映されています。

例えば、これをフランスとギリシャの乖離に見て取ることができます。フランスの経済はかつて、安定していると考えられていましたが、現在は多額の債務、低成長、非協力的な有権者によってその安定が妨げられています。

実際、2024年11月にはフランス国債(OAT)の利回りが一時、ギリシャ国債を上回り16、欧州債務危機の苦境を彷彿とさせました。

一方、ギリシャは財政再建後に基礎的財政収支の黒字化を達成し、格付けが投資適格へ引き上げられたことで、より低金利での資金調達が行えるようになり、2010年の救済プログラムによる債務の一部を返済することさえできるようになりました17。これは、投資家への信頼性と債務の持続可能性を維持することの重要性を示しています。債務水準が持続可能な国は、信用力が高く、債務返済や自国への投資がしやすくなるという好循環に恵まれます。

これは経済成長にも影響を与えます。コロナ危機前の2019年から2024年にかけて、ギリシャの1人当たりGDPは11%以上増加しましたが、フランスでは2%未満となりました18

代替ルート

このような環境のもと、投資家はどこに目を向ければよいのでしょうか。

バローズの主張は、「単純な投資理論で、ある国の経済が財政難に陥っているなら、別のところに投資すればいい」というものです。

結局のところ、資本の逃避が始まると、それを利用する投資機会がもたらされます。しかし、バローズは市場の変化が「冷酷で残忍」なものになるかもしれないという点を憂慮しています。何が引き金になるかはわかりませんが、政変のような変化は、「非常に迅速かつ急激なバリュエーションの変化」を引き起こす可能性があります。

「我々ができることは、こうしたリスクをできる限り把握し、ポートフォリオを安全だと思われる資産に逃避させ、資本の損失をできるだけ回避する努力をするだけだ」とバローズは付け加えました。

ロードもこれに同意見で、財政危機の際に「最も重要なのは、危機を回避することであり、世界のさまざまな地域に分散できるファンドを持つことだ」と主張しています。

ニュージーランドは1980年代に高インフレ、失業率の急上昇、債務の増大という財政危機を経験しました。しかしその後、財政規則を調整し、総政府純資産を経済的ショックに対する緩衝材として十分な水準に維持し、各会計年度の歳出が歳入を下回ることを目標とすることを盛り込みました20

ロードとバローズは、対GDPの債務比率が低い先進国市場と比較して強固なファンダメンタルズを持つ国として、オーストラリア、ノルウェー、アラブ首長国連邦も挙げています。

社債へのインプリケーション

ソブリン債と社債は本質的に関連しています。社債は、国債利回りと企業向け融資に対する信用スプレッド(またはリスク・プレミアム)という2つの要素から構成されています。ソブリン債市場の現在の動向を考えると、これは社債市場にどのように反映されるのでしょうか。

多くの先進国市場の財政状況が悪化していることを考えれば、投資家がソブリン債よりも、高品質な社債を選好する局面が来るかもしれない、とチョールトンは言います。

一方、ロードには考えを巡らせていることがあります。例えば、4.5%のAA+の米国債と、30bpsスプレッドが乗ったAAAのマイクロソフトの社債では、マイクロソフトの信用力が米国政府より高いと言えるか、ということです。

「財政危機の状態においては、イエスと言わざるを得ない。なぜなら、マイクロソフトは過剰な借り入れを行っていないし、退職した従業員に支払えない額の給付を約束しているわけでもないからだ。マイクロソフトは支出よりも収入が多いため、信用力が高いと言えるだろう」とロードは説明します。

しかし、これはすぐに修正される傾向にあるとロードは指摘します。財政危機に直面すると、政府は歳出を削減し、あらゆるところから税金を徴収することで対応しますが、この場合最も潤沢な資金がある企業または個人がまずターゲットとなります。このシナリオでは、社債の成長見通しが損なわれる一方で、ソブリン債の見通しは強化されることになります。「通常、政府は迅速な手当てを講じることができるため、ファンダメンタルズに影響を与える長期的なものにはならない」とロードは言います。

さらに、現在、社債は史上最もタイトなスプレッドで取引されていますが、社債が国債によって締め出される可能性があります。国債が市場に大量に供給され、社債の購入に見合う利回りの上昇が見られなくなれば、スプレッド(国債利回りと社債利回りの差)は圧縮され、投資家はリスクに見合う十分な対価が得られないと判断するでしょう。

新興市場への迂回

西側諸国と同様に、新興市場でも同様の傾向が見られました。財政改革はこれまで最も脆弱な経済と考えられていた国々によって主導されてきた一方で、中所得の新興国の中には、支出を大幅に増やした国もあります。

新興国債券 のファンドマネージャー、クラウディア・カリチは、新興国は全体的に債務水準が低い傾向にあると言います。しかし、その多くがグローバル市場からハード・カレンシー(米ドルやユーロなど、一般的により安定しているとみなされる通貨)で借り入れを行っているため、債務水準に対する市場の許容度は低くなっています。そのため、先進国市場のような高水準の債務を抱えることはめったにないでしょう。さらに、国の債務返済能力にとって重要な要素である財政収入も、経済構造や所得水準を考えると、新興国では通常低くなっています。

とはいえ、大幅な財政改革を行い、より多くの資本を惹きつけている国もあります。「財政調整が持続可能で長続きすると思われる国々は、間違いなく市場から報われる」とカリチは言います。

アルゼンチンはその最も顕著な例です。2023年にハビエル・ミレイ氏が大統領に選出されるまで、同国は長い間、財政難に悩まされてきました。「チェーンソー経済学」という言葉が辞書に登録されましたが、これは、ミレイ大統領がアルゼンチン経済を立て直すために大胆な行動をとったことから生まれた造語で、選挙運動中に彼が象徴的にチェーンソーを振り回したことがきっかけとなりました。政権に就いて以来、ミレイ大統領は公共事業の中止、年金支出と公務員給与の削減、エネルギーと交通への補助金の削減、3万人以上の政府職員の削減を実行しました21

その結果、アルゼンチンは10年以上ぶりに財政黒字に転じました。2024年に同国は、GDPの1.8%に相当する黒字、利払いを考慮しても0.3%に相当する黒字を計上しました22。これは債券市場のリターンに反映され、アルゼンチンは2024年に最も良いパフォーマンスを示した国のひとつとなりました。

同様に、エジプトやトルコのように、経済が不透明な時期を経て、現在は基礎的財政収支の黒字化を目標としている国もあります。エジプトは2027年6月期に基礎的財政収支ベースで5%の黒字を、トルコは2025年にGDP比0.5%の黒字を計画しています23

これらの国々が財政状態の改善を目指す一方で、ブラジルやメキシコなど、これまでマクロ経済のファンダメンタルズが安定していると考えられてきた国々が、より緩やかな財政政策を採用しています。

メキシコの財政赤字は2024年にはGDPの6%に急増し、過去20年間で最高になると予想されています。シンクタンクの公的通貨金融機関フォーラムによると、これは大規模なインフラプロジェクトへの公共支出の増加と経常支出の増加によるものとなっています24

一方、ブラジルは、ルーラ政権が社会支出の増加に対応するために財政赤字を拡大させる財政戦略を採用したため、財政上の懸念に直面しています。同国では2025 年1月には金利が13.25%に上昇し、対GDPの債務残高は2024年の77.3%から2026年には85%に達するとみられます25

こうした財政状況の乖離傾向は、2024 年の信用スプレッド(新興国債券と米国債の利回りの差)にも反映され、脆弱ながら改善の見られる国のスプレッドは不均衡に縮小しました。その結果、2024年に新興国ソブリン債のハイイールドは投資適格債をアウトパフォームしました26

新興国は全体として債務が低いだけでなく、国際通貨基金(IMF)という政策アンカーからの恩恵も受けています。モルガン・スタンレーの調査によると、JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・グローバル・ダイバーシファイド指数に含まれる合計29カ国がIMFプログラムに参加しており、これは時価総額で同インデックスの27%を占め、2010年以来の最も高い比率となっています27

カリチは、「資金調達の選択肢が限られている国は、しばしば短期的な資金提供を目的としたIMFのプログラムに参加する。プログラムは、そういった国に一息つく時間を与え、問題の原因となることが多い財政枠組みの改善を可能にする」と述べています。

新興市場でも、他の国と同様、投資家は個々の国のリスク・レベルを再評価しています。財政の観点から見ると、一部の国は安定した運営を推し進める一方で、財政の悪化に直面している国もあり、投資家の投資意欲によって先行きの明暗が分かれます。「新興国債券には常に懸念がつきまとう。新興国市場では、常にその国に特有な要因を分析する必要がある」とカリチは強調します。

世界的な債務残高が増加を続ける中、このような乖離がもたらす投資機会を利用しつつ、リスクを管理することに関しては、アクティブ・マネジャーには一日の長があると考えます。

1 国際通貨基金(IMF), ‘2024 Global Debt Monitor’, (imf.org), 2024年10月
2 世界経済フォーラム, ‘Public debt levels are deeply troubling: Experts at Davos 2025’, (wef.org), 2025年1月
3 米財務省, ‘What is the national debt?’, (fiscaldata.treasury.gov), 2025年2月
4 OECD, ‘Global Debt Report 2024’, (oecd.org), 2024年3月
5 Trading Economics, ‘United States Fed Funds Interest Rate’, (tradingeconomics.com), 2025年2月
6 CNBC, ‘Interest payments on the national debt top$1 trillion as deficit swells’, (CNBC.com), 2024年9月
7 米国議会予算局、 ‘The budget and economic outlook: 2025 to 2035, (cbo.gov), 2025年1月
米国議会予算局、‘The long-term budget outlook: 2024 to 2054’, (cbo.gov), 2024年3月
9 世界経済フォーラム, ‘2024 is a record year for elections’, (weforum.org), 2023年12月
10 国際決済銀行, ‘BIS quarterly review’, (bis.org), 2024年12月
11 The Guardian, ‘Reeves’s radical change to fiscal rules could go further’, (theguardian.com), 2024年10月
12 Economics Observatory, ‘Bond markets and the UK’s public finances’, (economicsobservatory.com), 2025年2月
13 The Guardian, ‘How Kwasi Kwarteng’s mini-budget hit UK economy’, (theguardian.com), 2022年9月
14 ロイター, ‘UK budget to push gilt issuance towards 300 billion pounds, dealers say’, (reuters.com), 2024年10月
15 ロイター, ‘Sterling and UK gilt prices tumble’, (reuters.com), 2025年1月
16 ブルームバーグ, ‘French 10-year borrowing costs match Greece’s for first time’, (Bloomberg.com), 2024年11月
17 フィナンシャル・タイムズ, ‘The astonishing success of eurozone bailouts’, (ft.com), December 2024
18 フィナンシャル・タイムズ, ‘The astonishing success of eurozone bailouts’, (ft.com), December 2024
19 国際通貨基金, ‘General government gross debt’, (imf.org), 2025年2月
20 ニュージーランド財務省, ‘Fiscal strategy’, (treasury.govt.nz), 2025年2月
21 CNN, ‘Argentina’s Milei counts Trump and Musk as fans’, (edition.cnn.com), 2024年12月
22 Bloomberg, ‘Milei’s budget cuts nets Argentina first surplus in over a decade’, (bloomberg.com), 2025年1月
23 IMF, ‘Emerging markets’ two-way traffic’, (imf.org), 2024年12月
24 OMFIF, ‘Forget US election, Mexico’s real economic challenge lies at home’, (omfif.org), 2024年10月
25 Fitch Ratings, ‘Brazil’s fiscal, monetary tensions create negative feedback loop’, (fitchratings.com), 2024年12月
26 Bond Vigilantes, ‘Emerging markets high yield post-mortem’, (bondvigilantes.com), 2025年1月
27 Bond Vigilantes, ‘Emerging markets high yield post-mortem’, (bondvigilantes.com), 2025年1月

投資元本は変動し、投資から得られる利益は上昇することもあれば、下落することもあり、お客様の投資元本は保証されません。
本項に記載されている内容は現時点におけるM&Gの見解であり、投資に関する推奨、助言に該当するものではなく、また将来の状況やパフォーマンスを予測するものではありません。
当資料は、一般的な情報提供を目的としており、金融商品取引業登録に基づく業務又は当社関連会社が組成するファンドの持分等の勧誘を目的としたものではありません。

インサイト