プライベート・アセット
5 分間で理解する 25年3月5日
ABSは、通常ローンやクレジットといった資産プール(担保)を裏付けとする証券で、その仕組みは非常にシンプルです。これらのABSが投資家に販売されると、投資家はこれらの資産プールから生み出されるキャッシュフローから利息と元本の返済を受け取ります。様々な種類のABS取引が、多様で予測可能な収益の資産プールによって裏付けられています。 これらの資産プールは組み合わされ、金融商品が発行されます。
資産プールごとにリスク・リターン特性が異なるため、投資家は自身のリスク許容度に最も適したABSを選択することができます。また、ABSにはAAAから非投資適格まで様々な格付けがあるため、投資家は、自身が求めるリスク・リターン特性や時間軸、流動性ニーズといった観点から最も合理的と思われる資本構造の部分に投資を集中させることができます。
ABSに類似した商品に、担保付ローン債務(CLO)があります。ABS証券の担保となる消費者ローンとは異なり、CLOは通常、シニア・セキュアード・ローン(レバレッジド・ローン)、またはコーポレート・ローン、プライベート・エクイティ・ローンなどのシンジケート・ローン(BSL)で構成されます。消費者ローンで組成されたABSは通常、特定の地域への集中が見られますが、CLOは特定の産業にエクスポージャーを広げることで、さらなる分散を図ることがしばしばあります。ABSやCLOを生み出す証券化プロセスもシンプルです。
これらのABSは「トランシェ」に分類され、取引の資本構造における優先順位やクーポンに基づき、格付け機関によって格付けされます。投資家は、リスクとリターンの選好度に応じて証券を購入することができます。
資産担保証券を検討している投資家にとって、恐らく最大の障害となっているのは、世界金融危機の際に米国のサブプライム市場が残した遺産でしょう。当時、サブプライム市場の一部はパフォーマンスが著しく低迷し、ABSの評判を大きく損ないました。しかし、世界のすべてのABS市場が同じであると考えるのは誤解です。具体的には、欧州のABS市場は長期にわたって安定したパフォーマンスを示してきました。
欧州のABS市場が相対的に魅力的な理由は、担保のアンダーライティングが非常に保守的であることと、特に欧州全域における住宅ローンやその他の消費者向け融資に関する厳格な執行体制にあると我々は考えています。実際、欧州ABS市場の信用力の高さは、住宅ローンの現状を見れば明らかです。近年の住宅ローンの引受LTV(ローン・トゥ・バリュー)は、世界金融危機時の水準をはるかに下回っています。過去15年間、ABS取引は、深刻な経済的ストレス下においても、極めて高い耐性を証明してきました。
近年は、伝統的な債券へのアロケーションを多様化することで、利回り向上を図る動きが顕著になってきています。広範なストラクチャード・クレジットのユニバースはその恩恵を受けており、投資家の戦略的資産配分にABSやCLOが組み込まれることが増えています。ABSやCLOの魅力は以下のような幅広い特徴にあると言えるでしょう。
ポートフォリオ構築という観点で、投資家がAAAからシングルBまでの格付けのABS債券、さらには格付けされていないジュニア・エクイティ・トランシェまで購入できるという事実は、ABSが多くの投資家の選択肢になり得ることを意味しています。投資目的が予測可能な低めのリターンであれ、より株式に近いリターンであれ、ABSの魅力はその柔軟性にあります。投資家は、特定のユニバースや資本構造に的を絞って投資することができます。
ポートフォリオにおけるABSの役割は多面的であり、大幅なリターン向上と分散効果を共に享受できる可能性があります。ABSが格付けの全域に対応しているという事実は、幅広い投資家にとってABSの魅力と利用価値をさらに高めています。ABSは社債エクスポージャーを完全に代替するものではないものの、分散とボラティリティ低減の両方が期待できる補完的な役割を果たすと我々は考えています。
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