プライベートデット
4 分間で理解する 21年8月27日
零細・中小企業(MSE)は、事業の発展、ひいては、収入を必要としている困窮層に重要な雇用を創出するための投資資金を必要としていますが、正規の金融機関からの資金調達方法は、このような企業の成長の妨げになっていると指摘されています。
発展途上国に所在する零細・小規模の起業家や低所得世帯の多くは、ニーズに合った手頃な金融商品・サービスを責任ある持続可能な手段で銀行などから受けることが限定的、あるいは全く受けられない状況におかれています。
マイクロファイナンス(一般的に、マイクロファイナンス機関(MFI)が提供するローンなどの責任ある金融商品やサービス)は、世界のどの国においても、金融サービスを受けることのできない層や低所得の借手が包摂的に金融サービスを受けるうえで重要な役割を果たすことができます。零細・中小企業は女性が所有・経営している割合が多いため、零細・中小企業に金融サービスへのアクセスを手助けすることで、女性の収入の確保による生活向上、不平等の解消、経済的エンパワーメントを通じて貧困の悪循環を断ち切ることに貢献できます。
マイクロファイナンスの促進は、起業を可能にするとともに、多くの雇用を創出することができるため、極度の貧困層をなくすための重要な方策と考えられています。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症が引き起こしたパンデミックは、世界の極度の貧困層(1日あたりの生活費が1.90ドル以下)の根絶に対する取り組みを20年間遅らせ、国連のSDGsの目標である2030年までに極度の貧困の根絶を達成させることを疑問視する向きが多くなっています。
国連の「持続可能な開発目標報告2021」によると、2020年には1億1900万~1億2400万人(3分の2は南アジア諸国)が極度の貧困層に逆戻りし、2億5500万人分の正規雇用が失われました。雇用を失った人数は2007年~2009年の世界金融危機時の4倍です。パンデミックを脱し経済が回復軌道に乗ったとしても、世界で貧困状態にある人数は増加すると予測されています。貧困対策をすぐに実行に移さない場合、現在の予測では、2030年における世界の貧困人口は、全人口の7%にあたる約6億人に上るとされています1。
新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが生計に与えている影響は、女性の方がはるかに大きいとする調査結果が多く発表されています。国際貿易センター(国連機関)が調査した136か国の中小企業では、男性が経営する企業のうち、新型コロナウイルス感染症の悪影響を強く受けた企業が50%を若干超えた水準であったのに対して、女性が経営する企業の62%近くが影響を強く受けたという結果が出ています2。緊急に資金を必要としている借手に資金を提供することは、世界経済の成長や社会発展に貢献するとともに、包摂的で持続可能な回復につながる零細・小規模起業家の成長のための強力な基盤を提供することになると考えます。
マイクロファイナンス強化ファシリティ(『MEF』、ドイツ復興金融公庫(KfW)・国際金融公社(IFC)を中心に設定された基金)は、マイクロファイナンス機関が世界金融危機時に資本市場からの調達ができなかった2009年初頭に、幅広い発展途上国のマイクロファイナンス機関に資金を供与することを目的に設立された基金です。MEFは、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの際も、資金調達に苦慮していたマイクロファイナンス機関に資金を供与し、危機時に大きな役割を果たせることが再確認されました。
MEFの目的は、マイクロファイナンス機関に供与する短期・中期の資金が、数多くの零細・中小企業や低所得世帯にローンやその他の金融サービスとして提供することで、世界の経済発展と豊かさを支援することを目指しています。またMEFとパートナーである世界中のマイクロファイナンス機関の活動は、ローンの大部分が従来型の資金調達が困難な農村地域の女性と借手に供与されていることから、開発的な側面を強く有しています。
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