2022年の債券投資 ― 無数の課題があるが、一方では無数の投資機会もある

4 分間で理解する 22年2月22日

インフレが一時的であるのか持続するのかについては、債券投資家が今年直面している課題の1つにすぎません。各国の中央銀行は金融市場を支えるというわかりやすい政策ではなく、インフレ抑制策への転換を目指していると予想されるため、押し目買いだけでは十分な対応とはいえないと思われます。

債券投資には、先進国におけるインフレ率の急上昇への対策として、大幅な金利引き上げや量的緩和の段階的な縮小政策を導入することにとどまらず、潜在的に存在するエネルギー危機や地政学的など、今年は多くの逆風要因が存在します。

『個々の企業を徹底的に分析する投資家は、2022年にスプレッドが大きく拡大することが予想されるなか、投資価値の高い企業を発見することができると考えます』
 
 

インフレの高進は、各中央銀行が考えるように一時的であるのか、あるいは長期化するのかが最も重要なポイントであることに違いありません。インフレ率の急上昇が一時的なものになると信じることはまだ可能ではありますが、時間の経過とともに徐々に疑わしくなってきています。米連邦準備制度理事会(FRB)はすぐに行動を起こすことを決定し、ジェローム・パウエル議長は最近、緊急的な支援策の縮小とともに、年内は利上げペースを維持すことになるとの見通しを明らかにしました。

インフレは世界的な問題ですが、問題の程度は地域によって異なります。イングランド銀行(BoE)は既に金利を引き上げ、FRBも利上げ開始が近いことを示しています。一方、英国や米国よりもインフレが抑えられているユーロ圏で金利が上昇を始めるのは、まだ数か月先であり、場合によっては1年先になる可能性もあります。

2023年以降は、FRBとBoEにとっての重要な課題として、金融引き締めが十分であったか、そしてもっと踏み込んだ行動を起こす必要があるかを的確に判断することになると思われます。

市場は現在、利上げのタイミングと引き上げ幅に注目していますが、各中央銀行は、利上げの第一段階が終了した後は、金利の引き上げと同時に債券買い入れの減額を開始することになると考えられます。その結果、投資家は資産価格に対する目線を変えることになり、債券、特に長期債は大きな影響を受けることになるでしょうが、短期、長期を問わず国債の利回りが上昇することになると考えられます。

社債の投資家には辛抱することが重要

米国債などの国債の投資家とは異なり、社債の投資家は、投資リスクに見合うメリットを享受できるはずだと考えています。

インフレ率の上昇と今後予想される金融引き締め政策は、主として2つの点で社債価格に影響を及ぼすことになるでしょう。第一に、既にインフレは企業のバランスシートを劣化させ、特にレジャーや製造業など、一部のセクターは、労働力の確保に苦慮し、賃金の引き上げを余儀なくされるなど、特に大きな打撃を受けています。このような企業が発行した債券の価格に影響が出始めています。

同時に、金利の上昇、並びに量的緩和から量的引き締めへの転換が見込まれていることを背景に、社債市場への投資資金が減少することが想定され、その結果利回りは上昇すると考えられます。

このような環境は、現在はディストレストな状態にありながら、強固なバランスシート、優れた経営陣、製品の価格決定力などを有する企業のなかで、債務の再編などにより収益力を回復させ、存続が可能な企業は多々存在しており、そのような企業が発行する社債への投資機会を生み出しています。

ただし、中央銀行が常に金融市場を支えることを簡単に信じて短期的に価格下落局面で投資するのではなく、投資家は辛抱強く投資のタイミングを見計らうことを学ぶ必要があります。

中央銀行は、金融市場が下落する初期段階で資産価格を支えするのではなく、インフレ抑制などのより広範な課題に焦点を当てる可能性の方が高いと考えます。個々の企業を徹底的に分析する投資家は、2022年にスプレッドが大きく拡大することが予想されるなか、投資価値の高い企業を発見することができると考えます。

 

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