扉を開ける:株主として日本企業の企業価値を高める

3 分間で理解する 22年11月2日

日本企業の制度的インフラストラクチャーは、この10年間で大幅に刷新され、企業改革を加速させるための体制が整いました。水準を一段と上げたガバナンスは議決権付株式の価値を高め、アクティブ投資家との協調を通じ、日本株市場の大きな潜在力を顕在化させる扉を開きました。

ほぼ10年前にアベノミクスが表舞台に登場して以来、日本の企業環境は大きく変化しています。コーポレートガバナンスと資本政策の双方の改善を図ることを目的とした国主導のキャンペーンが始まって以来、この10 年間において、企業の自助努力により目覚ましい改善が見られ、今後もさらなる改善が大いに期待できます。岸田文夫現首相は、改善されたガバナンスを土台に、企業部門の活性化を政策課題の中心に据えようとしています。

『日本では、ついに、企業文化の微妙な違いに配慮しながら企業と対話する方法を理解している株主が、企業価値を大きく高めることができるような環境になりました』

日本企業の潜在力を現実化させる

世界第3の経済大国であるにもかかわらず1、依然として世界の投資家は日本の株式市場をほとんど注目していません。企業行動が劇的に変化しているにもかかわらず、世界からほとんど注目されておらず、日本株運用に長い実績をもつ銘柄選択を重視する投資家にとっては素晴らしいチャンスだと考えられます。

「市場が、日本企業の変化を認識して株価水準を切り上げるのが遅いことが分かっただけでなく、ガバナンスが改善していることは、企業体質の改善を目指している投資先企業からの依頼に、M&Gが本気で取り組めることを発見しました。株主としてのM&Gの発言の価値は高まっており、投資先企業の戦略の見直しや、取引先、サプライヤー、共同研究者を探している投資先企業に、M&Gが投資する他の企業を紹介することなどで投資先企業を支援することに努力しています」とM&Gインベストメンツのアジア太平洋地域株式運用責任者であるカール・ヴァイン (Carl Vine) は述べています。

「日本では、ついに、企業文化の微妙な違いに配慮しながら企業と対話する方法を理解している株主が、企業価値を大きく高めることができるような環境になりました」とヴァインは付け加えています。

株主の立場で、日本企業の変化を促進し、付加価値を提供できるほど日本企業と良好な関係を築くことは、一夜にして実現できるものではありません。投資家が、日本企業にとって付加価値となるような有益な提案を行うためには、日本の文化や企業の沿革を理解する必要があります。25年にわたる日本投資の経験をもつヴァインは、「投資家はまず、付加価値を提供できる株主であるとの信頼を獲得する必要があります」と言い切ります。

日本企業とエンゲージメントする権利を取得する

株主として投資先企業の価値を高めるために必要なことは、その企業を十分に理解することです。もちろん、企業を理解することは、単にその企業の将来がどうなるかを知ることを意味するわけではありません。重要なことは、その企業のCEOが会社のことを考えるのと同じほどの時間を割いて考えることです。ヴァインによれば、企業全体に「発見のエコシステム」を築き上げることが重要です。投資家は、CEOほど企業の内部を知る由はありませんが、その代わり、競合企業、顧客による会社の認識、規制リスクなど、CEOが持ち合わせていない視点でその企業を見ることができます。

ヴァインは、「M&Gは、単に近い将来に何が起きるかを見いだそうとしているわけではなく、日本企業が直面している根本的な問題が何であるかを理解しようとしています。長期にわたり、さまざまな質問をし、さまざまな回答を得ることで、投資検討先企業の株式を保有した場合のリスクについて、他の投資家とは異なった見方を発見するのに役立ちます。異なった見方をもつことにより、企業と価値の高い対話ができるようになり、その後は対話の内容がどんどん充実していきます。このような対話を数年間にわたって企業と繰り返し行った結果、日本企業との関係はおのずと親密になり、投資先企業の信頼できるアドバイザー、パートナーとして認知されるようになりました。その結果、現在のように投資の好機が多いなかで、M&Gに運用を委託しているお客様に良好な投資機会をもたらすことができると考えています」。

1 出所:世界銀行 (現在の為替相場で換算した米ドルベース) (data.worldbank.org)

 

投資元本は変動し、投資から得られる利益は上昇することもあれば下落することもあり、お客様の投資元本は保証されません。

本項に記載されている内容は現時点におけるM&Gの見解であり、投資に関する推奨、助言に該当するものではなく、また将来の状況やパフォーマンスを予測するものではありません。

当資料は、一般的な情報提供を目的としており、金融商品取引業登録に基づく業務又は当社関連会社が組成するファンドの持分等の勧誘を目的としたものではありません。

株式運用戦略についてもっと調べる

もっと見る