なぜプライベートクレジットは普及しているのか

3 分間で理解する 11 11月 21

今回のパンデミックでは、銀行以外の代替的な貸手が、融資活動の中核を担う必要性が再認識されました。政策立案者もまた、非銀行による融資が実体経済を支え、貸手不足を埋める重要な役割を果たすことを認識しており、欧州におけるプライベートクレジット市場の発展を促進させる方向にあります。

貸手のさらなる多様化

多くの関係者は今日の融資環境におけるプライベートクレジットの重要性を認識しており、パンデミック後の経済を立て直すに際し、プライベートクレジットがもつ多面的な役割を早くから評価しており、特に2020年にプライベートクレジットが経済を支えた適応性を備えていることを示したことで、その評価は高まりました。また、プライベートクレジットの貸手や資金の代替的提供者は、中小企業を含むさまざまなタイプの借手に手を差し伸べ、激動のビジネス環境を乗り越えるために積極的に協力してきました。パンデミックは、プライベートクレジットの世界における協力関係とパートナーシップの強さ、そしてその意義を浮き彫りにしました。

『国の長期負債を投資家が引き受ける見返りとして、長期のインカム収入を提供するという暗黙の約束のもとに、投資家のニーズに合致する長期資産を購入してもらうという、政策立案者が考え出したことの一例です』

長期的な展望

欧州当局の立場からすると、米国と同様に、銀行への依存を小さくすることにつながる貸手の多様化を推し進める利点があります。

金融安定性の観点から政策立案者は、銀行による企業与信が顧客の預金を原資としたリスク資産であることを強く認識しています。政府や政策立案者が、投資に関しての障壁を取り除き、投資家による長期資産への投資を容易にすることに積極的ですが、一方では注意を喚起している関係者も存在します。金融安定理事会や多くの信用格付会社は、近年プライベートクレジット市場への投資家資金の流入が増加していることを背景に、市場での透明性が保たれなくなっていることや、融資基準の緩和、レバレッジの上昇など、潜在的なリスクが増加していることに対する懸念を表明しています。

同時に、最近の各政府の発言内容は、「投資ビッグバン」を推進する方向に動いていることを示唆しています。英国政府は最近、年金基金などの資産所有者に対し、経済回復を支援するために英国のインフラプロジェクトなどの長期資産や、ベンチャーキャピタルの支援を受け、プライベートエクイティのバイアウト企業に引き抜かれることが多くなっているハイテク新興企業などの長期的な成長見通しへの投資配分を増やすことを要望しています。これは、国の長期負債を投資家が引き受ける見返りとして、長期のインカム収入を提供するという暗黙の約束のもとに、投資家のニーズに合致する長期資産を購入してもらうという、政策立案者が考え出したことの一例です。

また、負債を抱えた政府は、現在および将来の世代のため、より環境に優しく持続可能な経済へと移行するために必要な多くの資金を供給する上で、長期的な(銀行以外の)プライベート資金の出し手との連携の可能性を認識していることは明らかです。

投資機会の拡大

プライベートクレジット市場での投資機会を求めている幅広い投資家の投資意欲が高まっているなかで、どんな投資家でも投資できる市場に変えるということも注目すべき趨勢として挙げられます。これを後押しするには、資金調達面と自己資本比率等に対する規制の変革が必要なことは明白です。

2015年に導入された、欧州の投資家を対象としたクローズドエンド型の欧州長期投資ファンド(Eltif)は投資家層の拡大を目指す枠組みです。英国政府も、同じ目的でプロフェッショナル投資家や個人投資家が従前から存在する株式や債券などの上場証券ではない、長期の流動性の低い資産クラスに投資できるようにする長期資産ファンド制度(LTAF)の創設を後押ししています。ファンドのストラクチャーをより柔軟にすることで、長期のプライベートクレジットの保有を可能にすることは、LTAFが、将来の確定拠出年金(DC)の加入者が経済の再建と改革に貢献することを可能にする一方で、長期の低流動性資産に投資することによる投資プレミアムを享受できる可能性があるという考え方に基づいたものです。

資産がプライベートであって、その多くは流動性が低いとしても、それは必ずしも年金基金の資産として不適ではないという考え方があり、規制当局や各国の政府には実行に移したい事項が山積しています。年金は退職後に備える長期貯蓄の手段であるため、その性質上、長期の投資資産と適合するということです。したがって、長期インフラデットなどは、個人の私的年金が投資する資産として非常に適していると思われます。今後20年~30年間に給付を受ける必要性がない場合は、資金を超長期の資産で運用することは効果的です。

プライベートクレジット市場の今後の予想に関しては最新のレポート をご覧下さい。

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