プライベートデット
3 分間で理解する 21年9月17日
地球温暖化に関する気候変動についての政府間パネル(IPCC)の最新報告書によると、2019年の空気中の二酸化炭素の比率は「少なくとも過去200万年」で最も高く、現在発生している多くの気候変化はもはや元に戻すことができない段階に達しているという厳しいものでした。
11月の国連気候変動枠組条約第26 回締約国会議(COP26)に向け、IPCCの報告書の内容は各国政府への対応を強めていますが、経済と社会に大きな影響を及ぼす可能性のある二酸化炭素排出量削減策を短期に義務付けるほどの政治的必要性を感じていないようです。各国政府は、開発途上国や輸送・建設などの業界に二酸化炭素排出量を削減する猶予を与えるために、排出削減を引き続き長期的な目標に据え置く可能性が高いと考えられます。据え置かれた場合、今後数十年にわたり二酸化炭素排出が継続する悪影響を軽減する方法を見いださなければなりません。低コストの「魔法の特効薬」は存在せず、産業界が排出する二酸化炭素を回収し、地下深部の地層に恒久的に貯留するという二酸化炭素回収・貯留(CCS)の技術は将来的に有望な技術であり、初期段階に投資することにはメリットがあると考えています。
CCS技術に対し、2050年までにネットゼロの達成を目標にしている英国政府は高い関心を示しています。2020年に発表されたグリーン産業革命計画では、120億ポンドの公共投資を背景に、CCS技術の開発を行う2つの産業クラスター(企業、大学、研究機関、自治体などの集積)に2020年代半ばまでに投資することにコミットしており、 2030年までにさらに2つの別の産業クラスターに投資する計画です。しかしながら、CCSインフラの構築のためのコストは多額であり、CCS技術を脱炭素化計画に必要な速度で役立つ規模に育てるためには、相当な投資額を民間から集める必要があります。
英国はCCSの研究・開発が比較的進んでいますが、実用化に向けてまだ初期段階にあります。ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)が政府資金を投入する産業クラスター(企業、大学、研究機関、自治体などが集積する)の入札者の評価を行っています。今までのところ、民間資金の投資機会は限定的であり、潜在的な投資家の多くは現在の開発初期段階において、投資することができません。
M&Gのカタリスト・チームの意義はそこにあります。総額50億ポンドのマンデートがあり、機関投資家向けに、さまざまな持続可能性の課題に取り組む新規設立及び新興の民間企業に資金提供しています。極めて高い柔軟性と広範な投資対象分野、そして投資の長期的な視野をもつカタリスト・チームは、CCS技術に長期的な評価ができることを意味します。時間の経過とともに、CCSのプロジェクトは、洋上風力発電や太陽光発電のようなインフラ資産となり、安定した魅力的な収益を生み出すことになると考えています。成功裏に終わった場合、CCS開発の初期段階で投資した投資家は大きなリターンを得ることになると思われます。
それが、スコットランド北東部でCCSプロジェクトを開発している英国の独立企業であるStoregga Geotechnologiesに投資した背景です。このプロジェクトは、2020年代半ばまでにフル稼働になることが見込まれており、エネルギー集約型産業から二酸化炭素を回収し、既存の石油・ガスのパイプラインを活用して北海の海底にある貯留設備に送ります。この施設は、運用開始からの10年間で年間2,000万トン以上の二酸化炭素を貯留できる可能性があり、この量は、ロンドンのような規模の都市における家庭の二酸化炭素排出量合計の約半分に相当します。
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