変動金利シニアAAA格欧州ABS、安全性を確保する

4 分間で理解する 22年3月30日

インフレと金利の上昇によりキャッシュの実質価値は低下し、国債や社債の利回りに上昇圧力がかかっています。投資家は、保有するキャッシュの一部を高い利回りが期待できるディフェンシブな資産である変動利付債に再配分することで、ポートフォリオのリターンを維持できるとM&Gは考えます。AAA格の欧州資産担保証券(ABS)は、6〜12か月以上保有する意思のある投資家にとって、魅力的な利回りのプレミアムを提供します。

上昇するインフレ率と低迷する短期金利が投資家の足を引っ張る

インフレの高進と将来的に金利の上昇が予想される環境において、保有するキャッシュの実質価値が低下する一方、固定金利である国債や社債ではインカム収入が確保できないこと、及び時価評価による損失発生のリスクが高まっていることを投資家は実感し始めています。

コア債券の多くのポートフォリオがもつデュレーションリスクが高まっていることを受けて、投資家はディフェンシブ資産の配分を再評価し、ポートフォリオの分散化を模索しながら、キャッシュ部分がポートフォリオ全体のリターンを悪化させるリスクの低減を図っています。

変動金利であるAAA格欧州ABSは、キャッシュや他のディフェンシブ資産の補完となり得る資産クラスということが見過ごされがちであるというのがM&Gの見解です。この資産クラスの特性として、デュレーションが短いこと、信用リスクが高まっている時期に構造的に高い耐性を発揮できること、流動性が比較的高く、まとまった額の取引が可能なこと、他のディフェンシブな資産クラスの多くに比べ大幅な利回り向上が期待できること、などが挙げられます。

『変動金利であるAAA格の欧州ABSは、キャッシュマネジメントという大枠のなかでのなかで、他のディフェンシブ資産の補完になると考えられます』

AAA格欧州ABSがどの程度効果的な分散効果を発揮するかを分析するため、まずはポートフォリオにおけるキャッシュの役割を特定する必要があります.

ポートフォリオにおけるキャッシュの役割の評価

通常投資家がキャッシュを保有するうえで重要視する事項は以下の3つです(順番は優先順位)。

  1. 安全性
  2. 流動性
  3. 利回り

キャッシュは安全性と流動性が高くなければなりません。投資家が、マイナスの利回りにもかかわらず、カストディアンに多額のキャッシュを配分するのはこのためです。しかしながら、キャッシュの全額をいつでも引き出せるようにする必要はありません。

そのため、すぐに引き出す必要のないキャッシュを何に再配分するかの決定は、「安全性・流動性・利回り」を考慮したうえで、このようなキャッシュが将来の特定の目的を達成するために、どのような状況で必要になるかを十分検討する必要があると考えます。

日常的な支払いのために預金は必要であり、また、キャッシュ同等の資産は短期的な運用として預金よりも若干高い利回りを提供しますが、6〜12か月以上引き出す必要のない余剰資金を流動性が高く、より利回りの高い資産に配分することは検討に値すると考えます。

変動金利であるAAA格の欧州ABSは、キャッシュマネジメントという大枠のなかで、他のディフェンシブ資産の代替としてではなく、補完する資産として、投資家がもつ安全性、流動性、利回りという目標の達成に寄与するというのがM&Gの考え方です。

1.       安全性 – シニアABSは資本構造の最上位に位置しています。資本構造上の下位クラスが存在することにより、担保処分による損失発生に対する保全が施され、強固な与信保全が図られていることを意味します。このことは、市場環境が非常に悪い際においても実証されています。

2.       流動性 - AAA格のABSは上場している証券化商品市場のなかで最大規模であり、M&GのABS売買高が示すとおり、2020年の厳しい環境のなかにおいても、日々売買が可能であり、流通市場で高い流動性を維持しました(図表1)。AAA格の欧州ABSは通常当局の規制対象である取引所に上場され、また最低でも2つの機関(多くの場合3つ)から格付けを受けています。

3.   利回り – AAA格欧州ABSは変動金利であるため、国債や社債とは異なりデュレーションのリスクが非常に小さいにもかかわらず、通常はキャッシュやマネーマーケットファンドに比べて大幅な利回り向上が期待できます。

流動性のあるディフェンシブな資産クラス

地政学面の不確実性、及びインフレ率の高進や金利上昇のリスクに直面している現在の投資環境において、変動金利である欧州のAAA格ABSなどの代替的な資産クラスへのキャッシュの戦略的な配分を含め、目的に合わせた資産へ再配分することにより、流動性と安全性を確保しながら、キャッシュを保有することによるリターン悪化のリスクを低減できると考えます。

変動金利のAAA格欧州ABSは、期間の短い国債や社債などの伝統的な資産に比べて潜在的な優位性を提供してきたと考えています。そして、今後も有効な潜在的分散投資先とみなされるというのがM&Gの見方です。

投資元本は変動し、投資から得られる利益は上昇することもあれば、下落することもあり、お客様の投資元本は保証されません。

本項に記載されている内容は現時点におけるM&Gの見解であり、投資に関する推奨、助言に該当するものではなく、また将来の状況やパフォーマンスを予測するものではありません。

当資料は、一般的な情報提供を目的としており、金融商品取引業登録に基づく業務又は当社関連会社が組成するファンドの持分等の勧誘を目的としたものではありません。

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