住居用不動産:次のサイクルにおける有力な投資機会になり得るか

3 分間で理解する 22年12月19日

生活に直接関連する不動産も金利上昇の影響を免れることはできませんが、賃料が長期的に上昇するとの見通しは依然として魅力的です。住宅は必要不可欠なものですが、英国において不足していることは明白です。したがって、現在の金利上昇局面は、有力な投資機会になっていると考えられます。

リスク調整後リターンを向上させる潜在性

金利の上昇は住宅ローンのコストを上昇させており、そのことは、住宅価格の下落を誘発し、賃貸住宅に投資する価値にも影響を及ぼしています。しかしながら、賃貸住宅は、他の不動産セクターや他の資産クラスと比較すると、歴史的に市場サイクルを通してインカム収入と物件価値の面で堅牢性を示してきました。パンデミック時に入居率と賃料は一時的に低下しましたが、賃料回収率は全不動産セクターのなかで最も高かったという実績があります。 

したがって、利回りの低下は商業用施設よりも小幅になると予想され、賃料の伸び率が物件価値の下落を補うことに寄与すると考えられます。同時に、割安な価格水準にあることは、新たに物件を取得することでリスク調整後リターンを上昇させる投資機会が訪れているとも考えられます。

上昇を続ける賃貸住宅需要

住宅を保有することに対する不安を起因とした購入需要の低迷が賃貸住宅需要を増加させ、それも長期の賃借期間が選好されるため、景気後退期ほど賃貸住宅需要の増加が顕著になる傾向があります。借入コストの上昇は、政府による印紙税免除の措置では追いつかない水準になっており、不動産の購入をますます困難にしています。

その結果、より多くの人々が賃貸住宅を求めています。また、多くの人々が賃貸物件に住み続け、契約期間を長期化させていることが、需給関係をさらに悪化させています。

新規の賃貸住宅の供給は以前にも増して厳しい

賃貸住宅市場は、税制や規制の改正によりバイ トゥ レット (賃貸用に物件を購入する、「Buy to Let」) を行う投資家が大幅に減少したため、パンデミック以降、供給が減少しています。このことは、民間の家主が温室効果ガスの排出をネットゼロにする目標達成のために必要な住居の改修をする意図がない場合や、することができない場合、供給がさらに細る可能性があります。

『住宅用不動産は、ディフェンシブな特性を有し、ポートフォリオの分散化に寄与できる潜在性に加え、魅力的な賃料の伸びが期待できるため、基本的には投資家がポートフォリオに組み入れたい資産クラスと考えられます』
 

一方で、賃貸物件の供給低下が、賃料の上昇をもたらす要因になります。賃料の規制など、購入のハードル低下を狙った政策介入は、恒久的な解決策にはなりそうもないどころか、賃貸住宅投資の魅力を低下させることで問題をさらに悪化させる可能性があります。M&Gは、供給不足を緩和することが優先されるべき解決策だと信じています。

住宅に求められている条件の変化への対応

ビルド トゥ レントの投資家は、手頃な価格の社会住宅やシェアード オーナーシップ住宅 (1戸の住居を住宅協会と共同所有するスキーム、「Shared Ownership」) から高齢者向け住宅まで、住宅に求められるニーズの進化に対応することができます。持続可能な住宅建設会社であるグリーンコア コンストラクション (Greencore Construction*) に出資したことにより、M&Gは、入居者のコストを最小限に抑えながら、高品質でエネルギー効率の高い住宅を提供する能力を有しています。

賃貸住宅用不動産への投資配分の増加は続く

住宅用不動産は、ディフェンシブな特性を有し、ポートフォリオの分散化に寄与できる潜在性に加え、魅力的な賃料の伸びが期待できるため、基本的には投資家がポートフォリオに組み入れたいタイプの不動産と考えられます。逆風にさらされているオフィスなど伝統的なセクターへのアロケーションは縮小する方向にあり、代替となる投資先が必要になります。生活に直結する分野が代替になり得ることは明白であり、市場が成熟するにつれ、ポートフォリオに占める配分が増加すると考えられます。

有力な投資機会

賃貸住宅用不動産には多額の資金が流入しているため、価格上昇圧力が長期化すると考えています。割安な段階で購入することで、次に訪れる市場サイクルにおける重要な投資分野の1つになる可能性があると考えています。

* グリーンコア・ コンストラクションは、2013年にイアン・プリチェットとマーティン・パイクによって設立された住宅建設会社です。同社が目指しているのは、麻、石灰、木材などの自然素材を用いて高性能で低炭素な建物を建設することです。現在では、経験豊富なチームが科学的なアプローチに基づいた現実的かつ実用的な住宅の供給を行っています。


投資元本は変動し、投資から得られる利益は上昇することもあれば、下落することもあり、お客様の投資元本は保証されません。

本項に記載されている内容は現時点におけるM&Gの見解であり、投資に関する推奨、助言に該当するものではなく、また将来の状況やパフォーマンスを予測するものではありません。

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