不動産
3 分間で理解する 23年2月8日
この数か月の金利の上昇を受け不動産価格の多くは下落しました。ただし、価格下落の理由が金利の上昇であった物件と、賃料収入見通しの悪化であった物件を区別する必要があります。例えば、物流セクターの一部では、資金調達コストの上昇に伴い初期段階で相応の利回りが期待できなくなったことから、価格調整幅が大きくなりました。しかし、物流セクターの多くは、オンラインショッピング普及の本格化に伴い、以前にも増して注文処理に対し迅速性が求められることから、賃料収入に対する良好な見通しが続くと考えられます。このような構造的な変化は、インカム収入増加への期待に伴い、中期的にリターンを支えることになると考えられます。
景気には全般的に逆風が吹いていますが、欧州不動産市場では最新の設備を備えた物件の供給が一般的に少ないため、賃貸市場は概ね堅調に推移すると考えられます。また、物流セクターなど、長期的、構造的な変化を享受できる物件には、堅調なテナント需要とキャッシュフローが期待できます。
英国を含む欧州の各都市では、特に住宅セクターにおいて良質な物件の供給が少なく、需給の不均衡が続いています。そのため、新しいソリューションとなるような柔軟性に富む住宅を提供することは、構造的な需要を充足しながら、インカム収入の増加や分散を投資家にもたらすことができると考えられます。
働き方の変化は、最高品質のオフィスビルの価値を一段と高めると考えられます。企業は優秀な人材を惹き付け、つなぎ留めることを重視しており、高いESG基準を満たし魅力的な職場環境を提供する物件には強い需要があります。このような特性を有する物件に対するテナント及び投資家からの需要は非常に高く、ESG及び従業員の健康を考慮したオフィス物件は、十分にそのプレミアムを享受することが出来ると考えます。
プライムな立地に位置しないオフィスや宿泊施設など、厳しい環境に置かれている物件の一部が、高いリスク・リターンを目指す投資家にとって投資の好機となっているかもしれません。築年数が古いオフィスビルを、テナントがもつ現代的なニーズに合わせてアップグレードすることや、住宅や複合施設に転換することで、需要を喚起することも可能です。価格水準が調整された現在のタイミングでは、バリューアッドの投資家が魅力的な価格で物件を取得し、ESG要件を満たした物件に改修するような投資を実施することにより、高いリターンを獲得できる可能性があります。
市場のサイクルとは関係なく、物件の中には構造的な変化を受けて堅実なインカム収入と中期的な賃料上昇を享受できる、誰もが納得するような潜在性を有する物件が存在すると考えています。魅力的な利回りが獲得できる価格水準で物件を購入し、さらに賃料上昇が期待できるため、リスク調整後リターンの向上が期待できます。長期的な傾向と共に、個別物件のファンダメンタルズや最適な投資を行うことに焦点を当て続けることが重要だと考えます。
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