明確で容易なアクセス:プライベートクレジット投資への参入

4 分間で理解する 23年7月4日

プライベート市場が進化を続けるなか、投資参入の向上により投資家の多様なニーズに対応する様々なストラクチャーを通じて、プライベートクレジット市場全般においてユニークな投資機会が生まれるようになりました。

これまでニッチな資産クラスと見なされてきたプライベートクレジット市場は、飛躍的な成長を遂げています。実際、プライベートクレジットに配分された運用資産残高は2027年末までに2兆3,000億米ドルに達し、オルタナティブ投資全体を上回るペースで増加するとPreqinは予想しています 1

投資家が分散投資効果と確実性の高いインカム収入源を求めていることを背景に、プライベートクレジットに対する需要は最近急拡大しています。プライベートクレジットは景気後退に対する耐性と適応力を備えていることで知られていますが、現在の景気後退においてもこれらの特性が実証されました。

『プライベート市場が発展するにつれて投資参入の向上により、代替手段の再定義が促進され、プライベートクレジット市場の幅広い分野においてユニークな投資機会が生まれるようになりました』
 

世界金融危機以降、多くの銀行が案件ごとに条件を交渉する必要があるローン市場から撤退したことの反動で、プライベートクレジットは機関投資家のポートフォリオにおいて重要な地位を占めるようになりました。伝統的な大口の機関投資家の多くは、プライベートクレジット向けの投資枠を以前から有していますが、投資家の裾野は広がりつつあり、大手ではない機関投資家や個人投資家を含む代替的な投資家層からの投資が増加しています。

プライベート市場 - 不透明なのは仕方がないのか

その性質上、プライベート・マーケットは不透明であり、特に流動性の制約や一般的な透明性の欠如を考慮すると、この分野に投資する際にアクセスするのは難しいと思われるかもしれません。プライベート・アセットへの投資はより困難であり、プライベート・クレジットに含まれるアセットクラスの多さだけでも、この複雑さに拍車をかけています。プライベート・クレジットでは綿密なリスク評価と管理が求められるため、専門知識が極めて重要です。

金利が上昇しボラティリティが収束しない状態が「ニューノーマル」になっているなか、プライベートクレジットは、分散効果があり、安定したインカム収入が期待できながら、他の資産クラスと相関関係が低いという魅力的な資産クラスだと考えられます。しかしながら、このような優れた利回りを提供する資産ではありますが、投資家の業態によっては妥協ができないような特徴をもっています。

流動性に乏しいプライベートクレジットの投資戦略では、最終投資家の最低コミットメント額を運用会社が高めに設定することが多く、このことが運用資産規模の小さな投資家にとってはポートフォリオの分散化の障壁になる可能性があります。

 

プライベート・クレジット市場に参入することは、難しいことではありません。パブリック市場が縮小する一方でプライベート市場が成長し、投資案件を見つけ出すことは以前に比べて容易になっており、投資家が持つ多様なニーズに対応するためのさまざまなストラクチャーを備える投資戦略を通じて、プライベートクレジット市場の幅広い分野においてユニークな投資機会が生まれるようになってきました。

従来プライベートクレジットへの投資はクローズドエンド型ファンドを通じてのみ可能でしたが、今日では、分散された収入源がもたらす長期のインカム収入を求める年金基金などの機関投資家が、柔軟なストラクチャーを用いた投資に着目するようになってきています。

プライベートクレジットの投資手段

さまざまなストラクチャーを用いたファンドは、投資家のさまざまなニーズに対応できると考えられます。またプライベートクレジットは、景気サイクルのどのような局面においても、代替的で分散されたインカム収入を獲得できる柔軟な手段を提供するだけでなく、分散化のメリットとともに、投資家の長期・短期の双方の目標を達成するのに寄与します。

例えば、オープンエンド型のマルチクレジット投資戦略は、企業向けのプライベート レンディングから消費者金融、不動産融資、ストラクチャード クレジットまで、マルチクレジットの投資ユニバースの中でも、異なったリスク要因とリターン要素を有する資産への投資が簡単にできるようにします。プライベートクレジットは、流動性が低いだけでなく、運用報酬が高いこと、需要が大きい場合の評価額が過大になりがちであること、借入人によるデフォルトの可能性などのリスクを包含しています。

しかしながら、投資家がインカム収入を必要としている場合でも、リスクが非常に高い分野に投資する必要はありません。アクティブ運用のポートフォリオは、規模の比較的小さな機関投資家にとって大きなリスク要因である低流動性を、完全とは言わないまでも、一部軽減するために、流動性の高い資産と低い資産の両方に投資することを通じて、双方の「いいとこ取り」をすることができます。オープンエンド型ファンドは、キャピタルコールがないため、投資家が資金繰りに頭を悩ます必要がない一方、投資家ニーズに沿って特別に設定された投資戦略は、ポートフォリオにおける高レバレッジや過度なクレジットリスクを抑制することを可能にすると考えます。

一般的にプライベートクレジットは、パブリック債券のような流動性の高い商品よりもリターンは高く、ダイレクトレンディングは、相応の流動性を備え市場規模がより大きく、売却がより容易であるローンや資産担保証券 (ABS) よりも高いリターンを提供します。プライベートクレジット市場の中で、どの分野が投資家独自のリスク分散ニーズを満たし、パブリック債券市場と比較して好利回りを提供するように進化しているかを見極める重要性は今までと何ら変わりがありません。

プライベートクレジットがもつ複雑さを分析することに精通している経験豊富な投資家は、アクティブに運用することで、キャッシュフローを確保するための追加的な保全策を備えながら、実態を反映しない相場において低流動性資産だけが通常享受できる投資機会を捉えることができると考えられます。このような柔軟性は、プライベートクレジットのポートフォリオを強靱にし、厳しい環境下であれ、強気相場であれ、投資家に確実なインカム収入をもたらす投資機会を提供するものと考えます。

1 Preqin 『Global report 2023: Private debt』、preqin.com、2023年1月

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