英国のロングリース不動産:新規投資対象として投資の好機

5 分間で理解する 23年11月13日

世界金融危機以降、英国ではロングリース契約を用いた不動産投資の魅力が増しています。ロングリース市場から確定給付型年金基金 (DB基金) が撤退していることや金利の上昇に伴い、現在投資を考えている投資家にとって、投資適格でありながら、質の高い不動産を担保にしたインフレ率に連動したキャッシュフローを提供するロングリース物件を魅力的な価値で購入できる好機が訪れていると考えられます。

今までは、英国のロングリース不動産への主要な投資家はDB基金でした。ロングリースは、インフレ率に連動したインカム収入を獲得できる長期契約の形態であり、長期債務をヘッジし、キャッシュフローが得られるなどDB基金が求める要件を備えており、事実上DB基金のために設計されたものでした。

債券投資と不動産投資のハイブリッドであるロングリースは、債券と同様に四半期ごとに賃料が受け取れるという利点があります。英国の優良不動産を担保にしたセール・ アンド・ リースバック、インカム・ ストリップ、土地部分の賃貸借などの案件で構成された質の高いポートフォリオには、上場企業、大学、地方自治体などの投資適格のテナントにとって不可欠、あるいは事業上の重要な物件が含まれることが少なくありません。

『価格が調整され、既製の質の高いポートフォリオを購入できるようになったことで、この市場に参入する好機が訪れていると考えます』
 

このような特性を有する資産クラスでありながら、従来ロングインカム型不動産投資 (長期のインカム収入獲得を目的とした投資) を行っていた投資家が市場から撤退し始めています。その主な投資家層は、バイアウト (リスクを他者に移転) に備えてポートフォリオ全体のリスクの低減を図っているDB基金です。DB基金が撤退していることに伴い、今までは需要超過になっていたような案件でも、新規の投資家が購入できるようになりました。ロングリースは、好利回り、インフレ耐性、負債のヘッジなど、多くの点で投資家の投資目的の達成に寄与することが期待されることに加え、物件の値上がりを享受できる可能性もあります。

投資を開始するには絶好のタイミングか

10年以上にわたってDB基金からの旺盛な需要が継続したことで物件価格が大きく上昇しましたが、最近になって価格が大幅に調整したため、現時点で市場に参入することは、優れた投資価値の獲得につながる可能性があります。

「ロングインカム型不動産投資のリスク調整後リターンが、これほど優れていたことは過去にありません。価格は世界金融危機直後の水準に戻りましたが、当時の市場が未成熟だったのに対し、今では誰もが投資する市場に成長しました」と運用担当者のリー・マクダウエルは述べています。

価格調整が急速に進んだことから購入する好機が訪れると考えられます。不動産の価格調整が急速に、少なくとも世界金融危機のときよりは進んでいるなかで、英国金利の先行き不透明感が払拭されつつあります。世界金融危機の際には、信用収縮によって金融債務の価格が下落しましたが、低金利が物件価格の下落を緩和する効果を発揮しました。今回はその逆で、低水準にあった金利がインフレ抑制のために急速に上昇しました。現在の市場のレバレッジ水準は低いですが、金利の上昇に応じて物件価格が急速に調整されました。

物件価格上昇の可能性

物件価格が底値に近い水準に低下しており、価格変動サイクルにおける低価格水準にある間に投資することで、潜在的な価格上昇のチャンスを獲得できる可能性があります。英国の不動産市場における価格調整は、他国よりも早く発生し、それも大幅なものでした。そのなかでも、債券に類似した要素をもつロングリース不動産の調整が最も顕著であったため、価格が他種類の物件に先だって安定し、価格の信頼性が高まっていると考えられます。また、賃料の伸びが鈍化し安定的になっているため、将来のキャッシュフローに対する信頼感が高く、プライベート市場の他分野よりも流動性が高くなると考えられます。このことから、経済、金利の見通しが不透明ななかでも物件価値をより正確に評価することが可能となり、投資を判断するにあたって役に立ちます。

「価格が調整され、既製の質の高いポートフォリオを購入できるようになったことで、この市場に参入する好機が訪れていると考えます。不動産が新たなサイクルに入ったのであれば、ロングリースは魅力的な投資対象だと思います。ロングリース不動産は、ディフェンシブでリスクが抑えられた投資対象でありながら、安定したキャッシュフローが期待でき、長期的には物件価格の値上がりが可能です」とマクダウエルは付け加えます。

さまざまな投資家にとって投資価値を高める好機

今日の状況において、英国のロングリース不動産は『基本に立ち返った』投資の提案だとマクダウエルは考えています。「現在では、投資家は質が高くディフェンシブな特性を備える物件に投資し、優良不動産を所有することでリターンを享受できるようになりました。わずか5年足らず前は、少しでも利回りを獲得するためにはリスクの高い商品に投資しなければなりませんでした」。

従来の銀行融資や債券市場の流動性が低下しているため、運用会社などにとって今後投資機会が増えると考えられます。この傾向を受けて、資金調達が必要な格付の高い優良企業や公共団体などは、ノンバンクからの融資やプライベートローンによる調達を模索するようになりました。その結果、インカムストリップのように30年以上の期間で、他商品に比べて低コストの長期資金の調達手段に対する需要が高まっています。

魅力的なキャッシュフローを提供する既製の優良なロングリース不動産のポートフォリオを購入できることは、さまざまな投資家にとって投資価値を高める案件を取得できる好機だとM&Gは考えています。不動産とクレジットの両分野の専門知識を有することは、さまざまな種類の不動産や融資ストラクチャーにおいて革新的で耐性の高い投資案件を創出するうえで貴重であり、一貫性のある魅力的なリスク調整後リターンを実現することに寄与すると考えられます。
 

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