ネットゼロ達成に向けてテナントと投資家の関係を再定義する

2 分間で理解する 28 2月 22

個別物件のレベルでは、建物のオーナーとユーザーが協力することがネットゼロ目標の達成に必要です。その際、テナントと投資家の関係はどのように再定義され、どのようなハードルと機会が存在するのかを考察します。

現代における不動産物件にはサービスと持続可能性が欠かせない要素になっており、今日、オーナーとテナントが話し合う内容は賃料交渉の域をはるかに超えるものになっています。テナントが求める水準は年々高くなってきており、顧客の体験を高め、物件のパフォーマンスを向上させるためには、オーナーはテクノロジーを活用して、物件の細部まで管理する必要性が生じています。「グリーン」な建物に対する需要の増加は、この進化における次の段階がどのようなものになるかを決定し、業界がネットゼロに進むなかで、より深いエンゲージメントが必要になると思われます。

『建物のエネルギー使用量に関するデータを収集することは、測定できるものは管理が可能、という考え方における出発点です』

データ収集が出発点

建物の二酸化炭素排出量の最大80%がテナントの行動に起因していると言われており、建物の温室効果ガス排出量を削減するには、投資家と企業がチームとして行動することが必要です。逆に言えば、オーナーがコントロールできる部分は総排出量のごく一部にすぎません。M&Gの不動産ポートフォリオを分析したところ、その割合は13%でした。

建物のエネルギー使用量に関するデータを収集することは、測定できるものは管理が可能、という考え方における出発点です。収集したデータは、オーナーがエネルギー消費量に関する現況を掌握し、太陽光発電など、テナントにも有益となるネットゼロへの潜在的な改善策を特定するのに役立ちます。改善策を特定することにより、テナントが負担している経費の節減などを通じてテナントによる解約を防ぐことに寄与すると考えます。

強固な関係を構築することの重要性

実際には、企業が水道光熱費の詳細を公開しないのが商慣習となっているため、データを入手するのは必ずしも簡単ではありません。したがって、エネルギー効率に焦点を当て、協力を促進するためにテナントと強固な関係を構築することは、日常使用するエネルギー効率を高めるには極めて重要です。

M&Gが2021年に実施したGRESB(グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク)のロングリース契約に関しては、物件が使用されている期間中は改善策を実行するのが容易でないことを考慮すると、テナントとの積極的な関係構築が特に重要という結果になりました。この分野でM&Gが前進を見せている背景には、テナントである大企業もネットゼロ達成へのコミットメントを強めていることがあるためと考えます。両者の考え方が同じ方向に向かっていることで、データの共有や協業が進んでいることが説明できます。

テクノロジーの採用が目標達成の方向性を示す

収集するデータの対象が拡大するにつれて、投資家は収集の自動化とエンゲージメントの促進を可能にするテクノロジーに目を向けるようになりました。M&Gの欧州のポートフォリオで既に使用されている、スマートメーターやテナント用のテクノロジーをサポートするデジタルプラットフォームは、建物の使用に関する情報を収集し、テナントによるエネルギー効率の確認と最適化を可能にするウェブベースのツールです。このようなテクノロジーは、協力関係が強くなるにつれて、テナントとオーナーの間でより広範に採用されることになると思われます。

エンゲージメント目標がモメンタムを強める

オーナーとテナントが共通の新しい目的を持つようになったことで、投資家はテナントとの協力関係を強固なものにし、サービスプロバイダーとしての役割を確立しています。企業の参加が増加するにつれて、エンゲージメントの機運は高まり続けています。ただ、今後業界全体でより広範な協力関係を構築する必要性があります。

エネルギー密度(一定の国内総生産を創出するのに必要なエネルギー量)と財務目標に加えて、エンゲージメント目標はモメンタムを強くすることにつながると思われます。また、協業することによるメリットが見えてくると考えられ、建物のパフォーマンス向上がはっきりするにつれて、効果は雪だるま式に高まると思われます。

投資元本は変動し、投資から得られる利益は上昇することもあれば、下落することもあり、お客様の投資元本は保証されません。

本項に記載されている内容は現時点におけるM&Gの見解であり、投資に関する推奨、助言に該当するものではなく、また将来の状況やパフォーマンスを予測するものではありません。

当資料は、一般的な情報提供を目的としており、金融商品取引業登録に基づく業務又は当社関連会社が組成するファンドの持分等の勧誘を目的としたものではありません。

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